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Talking Gold- 2024年6月

先月の金市場の動向

金は5月に1.8%上昇し、過去7ヵ月のうち6回目の上昇となりました1。月央の予想を下回るインフレ統計を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)の年内利下げをめぐる楽観論が再燃すると、金価格は上昇し、その結果、年初来上昇率は13%に押し上げられました2。ただし、上昇は一本調子ではありませんでした。FRB高官が、しばらく金利を据え置く意向を強め始めたため、金価格は月末にかけてやや反落しました。

不透明なマクロ情勢にもかかわらず、金価格はモメンタムを維持し、50日、100日、200日の移動平均を上回って5月の取引を終えました。世界の中央銀行が外貨準備の分散を目指すなか、この長期モメンタムは構造的な、そして循環的ではない需要に支えられてきました。中国の需要拡大は、大規模かつ持続的な影響をもたらしてきました。しかし、今後数ヵ月にかけてFRBの政策不透明感がマクロ環境要因の大幅な変動につながった場合、ETF経由で金の需要が増大する可能性があり、構造的要因に加えて循環的な需要も金価格の支援材料になるとみられます。

金パフォーマンスの牽引役

フロー: ブルームバーグのデータによると、5月に世界の金ETFの金保有量は0.28%、推定7トン減少し3、12ヵ月連続での資金流出となります4。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の投機筋による金先物ネット・ポジションは5月に14万2,139枚に増加し、3年平均の6万6,458枚を大幅に上回りました5。最近のロング・ポジションの期日延長は、マネーマネージャーが金に対する強気を維持していることを浮き彫りにしています。

ファクター: 金価格は5月を通じて、節目の1オンス2,300ドルを大きく上回る水準に定着し、同2,300~2,450ドルのレンジ内で安定的に推移しました。金の14日RSI(相対力指数)は50近い水準にあり、「買われすぎ」でも「売られすぎ」でもないことを示しています6

ファンダメンタルズ: 4月には8行の中央銀行が、金準備を1トン以上増やしました。最も大量に購入したのはトルコの中央銀行で、公的外貨準備は8トン増加しました7。その他、4月に金を大量に購入したのはカザフスタン国立銀行(6トン)、インド準備銀行(6トン)、ポーランド国立銀行(5トン)、シンガポール通貨庁(MAS)(4トン)、ロシア中央銀行(3トン)、チェコ国立銀行(2トン)です8

チャートで振り返る金市場の動向

金価格の推移

金ETFのフロー

金先物