直近のFOMCを受け、投資家の皆様が最も関心を寄せる3つの重要な問いにお答えします。
3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、3月に関するものでは決してなく、2024年の残り期間に関するものでした。金融政策の決定を前に投資家は、以下の3つの問いに最も関心を寄せていました。
1. 初回利下げのタイミング:金融政策が緩和サイクルに入る可能性が最も高いのは、引き続き6月です(図表1)。6月までにFOMCはあと3回、インフレと労働市場に関するレポートを確認することができます。当社の見解では、FOMCが「インフレは持続的に2%に向かっているとの確信を深める」のに十分であると考えます。
2. 年内の利下げ幅:FOMCの「ドットチャート」は昨年12月と同じく、年内3回の利下げを示しています。一方、2025年の利下げ回数の見通しは前回予測の4回から3回に減少し、長期の中立金利も2.6%と、0.1%引き上げられました。見通しがいかに不確実であるかを考えた場合、いずれの変更も2024年の金融政策決定にとって、特に重要ではありません。当社は引き続き、今年はさらなる利下げの余地があり、とりわけ2025年にはその余地が大きいと考えています。
実際、当社が予想している2024年内に4~5回という利下げをFOMCが実施しなくても、結局はより多くの利下げが2025年に集中することになると思われます。中立金利予想の上方修正は小幅かつ驚きのない内容であり、FOMC側の、確信の強さよりも、不確実性に対する認識を反映したものと捉えるべきでしょう。
3. QTの減速開始時期:バランスシート政策に関しては、公式な声明には何も記されなかったものの、ジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は記者会見で、バランスシートのランオフ(償還に伴う保有証券減少)を遅らせる時期について、「かなり早く」なる可能性に言及しました。コメントの行間から当社は、5月の会合で正式な発表があると予想します。
過去に当社が指摘したとおり、パウエル議長はバランスシートについて、「より緩やかにより長く」という姿勢の重要性を強調しました。より慎重に動くことでFRBは、過度なストレスを引き起こしたり、望ましい水準にバランスシートが達する前に、QTの終了が必要になったりする事態を避けることができます。
最後に、経済見通しにもいくつかの変化がみられ、なかでも最も重要な変化は2024年に関するものでした。2024年10~12月期の経済成長率(前年同期比)は大幅に上方修正され、当社の見解ではおそらく、若干上方修正されすぎたものと思われます。また、コア個人消費支出(PCE)物価指数の見通しも、前年比+2.6%と0.2%上方修正されました。
後者は当社の予想とも一致していますが、インフレ目標がまだ達成されていなくてもFRBはさらなる利下げが可能という、当社の見解を覆すものではありません。特にFRBの失業率見通しには、上振れのリスクがあると当社はみているためです。