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Bond Compass

PriceStats®:インフレ動向はまちまち

オンライン⼩売業者が販売する数百万品⽬の価格に基づいて算出した四半期インフレ指標を分析し、インフレの及ぼす影響を投資家が予測・評価する⼿助けをします。

トレンドは依然としてFRBの味方

米国のインフレ率が第1四半期に急上昇したのは、長期的なディスインフレトレンドの中で一時的に跳ね上がっただけだと思われます。インフレの再燃に不意を突かれましたが、米連邦準備制度理事会(FRB)や投資家は、インフレをめぐるトレンドの一部がここにきて正常化していることを歓迎しています。

6月のPriceStats指数は、通常の季節平均(前月比0.20~0.30%上昇)に対し、わずか0.03%の上昇にとどまり、インフレが依然として望ましい方向に向かっていることを示唆しています。燃料費は最近のインフレの改善に大きく寄与していると思われ、PriceStats指数が追跡しているほとんどの項目は、警戒すべきトレンドを示していません。3ヵ月平均の年率換算値を見ると、このところのディスインフレ・トレンドは維持されていますが(図表1)、2023年半ばにインフレ率の実績値が低下したため、今後数ヵ月は前年比では厳しい数値が予想されます。

ユーロ圏:インフレは深刻ではない

欧州中央銀行(ECB)は6月に利下げを実施し、ようやく正常化プロセスを開始しましたが、若干の不安を抱えながらとなりました。結局のところ、ユーロ圏全体では経済成長をめぐる懸念が続く一方で、インフレも負けじと居座っています。特に、ECBの利下げ開始とほぼ同時期に発表された、5月のサービス・インフレは予想を上回る結果となり、インフレの根強さが浮き彫りになりました。

これを受けてECBがタカ派的な利下げを実施しようとしているとみられることから、市場はユーロ圏の利下げ予想を修正しました。一方で、PriceStats指数は引き続き、全体的にディスインフレ・トレンドを示しており、6月のインフレ率は過去平均並みの結果となりました(図表2)。夏は季節的に物価が下がる傾向にあることから、追加利下げというECBの目標を後押しするかもしれませんが、フランスやEU全体におよぶ政治プロセスの分断化が事態を複雑にする可能性があります。

ユーロ圏インフレ率は深刻ではないように見える

日本:日銀が動くなら、今しかない

日本のインフレ率が目標とする2%に達し、今後も2%以上にとどまる可能性が高いことを示す根拠が次々と浮上しています。日銀は政策面でも為替面でもほとんど介入せず、市場は引き続き円安を中心に回っており、インフレ率は2%の目標に向けて着実に上昇しました。

その上、PriceStats指数の月次データは第2四半期に季節平均を上回って推移したため、日銀にとっては、数十年にわたって続けられてきた異例の緩和策から脱却するチャンスかもしれません。しかし、1ドル=160円台という円安水準が続いているにもかかわらず、日銀は利上げに対してほとんど関心がないようです。日本の一部の機関投資家による水面下の債券ポジションから来る最近のストレスは、日銀が慎重に行動する必要があることを物語っていますが、動くなら今しかないこともますます明白になっています(図表3)。

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