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Talking Gold — 2024年11月

先月の金市場の動向:金利上昇にもかかわらず、金価格は引き続き上昇

10月も金は上昇を続け、月中に史上最高値を6回更新して、前月比プラス2.5%の1オンス2,734ドルで取引を終えました。今年に入って史上最高値の更新回数は41回と、過去50年間で2番目に多く、1979年に付けた史上最多記録の58回に急速に近づいています。こうしたモメンタムに支えられて金のスポット価格は9ヵ月連続で上昇し、年初来リターンは32.65%と、株式と債券をともにアウトパフォームしました1

予想を上回るコアPCE(個人消費支出)価格指数と底堅い労働市場を背景に、米国10年国債利回りは7月以来となる高水準に上昇しました。しかし、利回りと米ドルがともに上昇したにもかかわらず、地政学的な不透明感、大統領選を巡る混乱、記録的な金の総需要などを背景に、金は10月も上昇を続けました2

この先2025年5月までに88ベーシスポイント(bp)の利下げが予想されていますが、実質金利の低下は金の明るい見通しを支える主要な要因の1つに過ぎません。そのほかにも、ETF投資家の参入拡大、(政権与党にかかわらず)予想される財政赤字の拡大、未解決の地政学的な緊張、中央銀行による持続的な購入の可能性など、金には多くの追い風があります3

金パフォーマンスの牽引役

フロー:ロング・ポジションの期日延長(ロール)の継続ならびに高水準のETF需要から明らかなように、マネーマネージャーは金に対して強気の姿勢を維持しています。世界の金ETFによる保有量は10月に0.9%、推定23.62トン増加し、年初来のフローは3億8,900万ドルの流入超に転じました。資金流入はこれで5ヵ月連続となり、5ヵ月移動平均は2020年4月以来の高水準となりました。ニューヨーク商品取引所(COMEX)における金先物の投機的ロング(買い持ち)ポジションは、10月には24万2,427枚で取引を終え、6ヵ月移動平均も2020年3月以来の高水準となりました4

ファクター:14日RSI(相対力指数)が月末にかけて「買われすぎ」の水準近辺で推移していた点を踏まえると、調整も予想されます5。ただ、特にその他のテクニカル指標(移動平均のクロスオーバーなど)が強さを示していることもあり、RSIのシグナルが長期化しても、反転が迫っていることを意味するわけではありません。

ファンダメンタルズ:金の総需要(OTC投資を含む)は前年同期比5%増の1,313トンと、第3四半期としては過去最高記録となりました。総需要は金額ベースで前年同期比35%増となり、史上初めて1,000億ドルを突破しました。中央銀行による購入は、このまま行けば通年で高水準になる見込みです。一方、宝飾品向け購入量は価格高騰のなか落ち込みました。金の年間生産量が過去最高に向かい、供給は増加しているものの、金地金・金貨投資は堅調に推移するとみられます6

チャートで振り返る金市場の動向

金価格の推移

金ETFのフロー

金先物