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米国債券市場に好機で利回りが魅力~非投資適格クレジットのアクティブ型ETF

米国の債券・クレジット市場の利回りが足元で高まっており、債券投資にとって好機といえます。中でも非投資適格(Non-IG)クレジットで組成されたアクティブ型ETFの『HYBL』は、好利回りへの期待とともに、他に類を見ないユニークなファンドとして個人投資家の注目を集めています。

債券には良好な市場環境。Non-IGの利回りに大きな魅力

米国株式市場は、政策金利の利下げの影響もあり、2024年秋の時点でも史上最高値圏を推移しています。一方、日本では長く続いたゼロ金利政策が終わり、「金利のある世界」が到来しました。日米の市場環境が変わりゆく中で、米国クレジット市場の先行きは明るいと語るのは、米国に拠点を持つ世界有数の資産運用会社ブラックストーンのシニア・マネージング・ディレクター、ダン・マクマレン氏です。

「米国の利下げ傾向は、企業にとって追い風となっています。多くの企業が潤沢な手元資金を持ち、バランスシートの状況も良く、債務不履行のリスクは低く抑えられています。社債やバンクローンなどのクレジット商品は、リスク調整後リターンが足元で株式などと比べて良好であり、安定的な収益が期待できる投資先といえます。米国経済はソフトランディングのシナリオが有力ですが、私は軟着陸よりさらにポジティブなシナリオを予測しています」

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが運用し、ブラックストーンがサブアドバイザリーを務める米国ETFの『SPDR® ブラックストーン・ハイ・インカムETF(HYBL)』は、米国のハイイールド債(低格付け・高利回りの債券)とバンクローン、CLO(ローン担保債券)の3種類が組み入れられています。クレジット商品は投資適格(IG)と非投資適格(Non-IG)の2種類に大別されるが、HYBLの投資対象はいずれもNon-IGに該当します。

図表1: HYBLの投資対象ユニバース

Nonig Credit Active ETF

出所:ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ

Non-IGの最大の魅力は相対的に高い利回りです。マクマレン氏は「ポートフォリオ利回りは年率7~12%程度が期待できます。そのうえ、株式と比較してボラティリティ(価格変動)が低い傾向があり、株式との相関性が低いことも魅力です」と指摘します。

ハイイールド債が固定金利で、バンクローンとCLOは変動金利という金利の違いも重要な点です。固定金利の債券にはデュレーション(残存期間)リスクがあり、金利上昇局面では価格が下落するが、変動金利の商品はデュレーションリスクが軽減され、リスク・リターン特性も異なります。またマクマレン氏は「変動金利のバンクローンとCLOは、インフレヘッジのための資産と位置付けることができます。これらと固定金利のハイイールド債を組み合わせて、市場環境に応じて資産配分を機動的に変更するマルチアセット運用を行うことで、価格変動リスクを管理しながら、金利上昇・下落のいずれの局面でも安定的に目標リターンを狙うことができます」と話します。

図表2:投資効率に優れた米国ハイイールド債とバンクローン

Nonig Credit Active ETF

出所:ブルームバーグ、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ。期間は2004年1月末~ 2024年7月末。使用指数:ブルームバーグ米国ハイイールド社債指数、モーニングスターLSTAレバレッジ・ローン指数、S&P500株式指数

アクティブ運用を支える、情報収集力と分析力

米国のバンクローンを投資対象とするETF『SPDR® ブラックストーン・シニアローンETF(SRLN)』も、HYBLと同様にブラックストーンがサブアドバイザリーを務めています。いずれもアクティブ運用型であることが大きな特徴です。信用リスクが大きいNon-IGへの投資では、銘柄選択の「目利き」がIG以上に重要となります。それを支えるのが、ブラックストーンの情報収集力と分析力です。

ブラックストーンは、オルタナティブ投資では世界最大級となる約1.1兆米ドルの資産を運用しており(2024年10月時点。以下同じ)、商用不動産やプライベートエクイティ(未公開株式)、ヘッジファンドなどあらゆる資産クラスで世界有数の規模を誇ります。クレジット市場においても、流動性がある商品のみで1110億米ドルを運用しています。

幅広い市場に深くコミットし、そこから得られる情報がブラックストーンの運用力の土台となっています。「私たちはチーム内の連携を重視しています。各市場のマネージャーが毎週会議を行い、そこで共有したデータを深く掘り下げながら、市場予測や銘柄選択、資産配分の調整などに生かしています」とマクマレン氏は話します。

プロに高評価の運用戦略を個人投資家にも提供

HYBLの上場は2022年ですが、ブラックストーンはHYBLと同様のNon-IGのマルチアセット運用戦略を、10年以上前から機関投資家向けに提供しています。「金利動向は機関投資家でも正確に予測できないものであり、いかなる環境でもリスクを抑えながらリターンを狙える戦略は、プロの投資家からも高い評価を得ています」とマクマレン氏は話します。

従来は機関投資家にのみ提供していたNon-IGの運用戦略を、個人投資家も投資可能なETFとしてステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが組成したのがSRLNとHYBLです。クレジット市場に関する知識がない方でもNon-IGの好利回りを享受できるうえ、ETFなので日々の流動性が確保されていることは、非常に大きな魅力だと思います。特にHYBLは金利動向の変化によらず、あらゆる局面でリターンを追求できるため、すべての個人投資家にも投資の選択肢の一つになりえるでしょう。

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