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セクター投資戦略を検討する4つの理由

セクター投資戦略を採用すれば、アルファ創出機会の追求またはポートフォリオ・リスクの分散によってポートフォリオのコア部分を強化できます。また同戦略は、景気循環の変化や循環的トレンドに基づいて、ポートフォリオを調整することにも利用できます。

セクター投資は、ポートフォリオ構築の効果的な手段です。経済変数や景気循環がもたらす影響は経済におけるセグメントによって異なるため、セクターに基づく投資戦略を採用すれば、以下の4つの重要な目標の達成に向けて、ポートフォリオを整理し調整する助けとなります。

  1. アルファ追求
  2. 景気循環に合わせたポジション構築
  3. 業界の長期的または循環的なトレンドの捕捉
  4. 分散化メリットの利用

1. アルファの追求

米国のセクター投資は、歴史的に見てスタイル投資よりも、リターンのばらつきが大きくなる傾向があります。実際、セクター間のリターンのばらつきは過去20年間にわたり毎年、スタイル間のばらつきより大きく、小型株ユニバースにおけるスタイル投資1を考慮した場合でも平均2倍超のばらつきとなっています。

図表1:米国のセクター投資は、スタイル投資よりリターンのばらつきが大きい

米国のセクター投資は、スタイル投資よりリターンのばらつきが大きい

出所:ブルームバーグL.P.,、2023年12月31日時点。インデックスのリターンには、キャピタルゲイン/ロス、インカム、および配当金の再投資が反映されています。分散投資は、利益を確約あるいは損失に対する保証を提供するものではありません。セクター別のリターンのばらつきは、S&P500セクター指数の最大リターンから最低リターンを差し引いて算出しています。規模およびスタイル別パフォーマンスはS&P500指数に基づいています。過去のパフォーマンスは、将来のパフォーマンスとして信頼できる指標にはなり得ません。

2. 景気循環に合わせたポジション構築

経済は循環的に変動します。通常、各局面にはそれぞれ特徴があり、セクターや業種に与える影響は異なります。つまり経済がどの局面にあるかによって、アウトパフォーム/アンダーパフォームするセクターは変化するということです。セクターに基づく戦略を採用すれば、投資家は現在の景気局面で有利なセクターへのアロケーションを増やし、マクロ経済の逆風に直面するセクターへのアロケーションを減らすことにより、景気循環の変化に合わせてポートフォリオを調整できます。

景気循環に合わせたポジション構築

景気循環に合わせたポジション構築

3. 業界の長期的または循環的なトレンドをキャプチャーする

セクターはそれぞれ特定の経済変数と密接な関係にあるため、セクターに基づく戦略は、マクロ経済関係(金利、インフレ、原油、ドル)に基づく業界の長期的または循環的なトレンドを捕捉するのに役立ちます。

例えば、石油・ガス産業と金属・鉱業は、原油価格と米ドルに最も敏感です。またコモディティ価格の上昇はインフレ期待を高め、セクターの利益を増加させる傾向があるため、これらのセクターはインフレ期待と正の相関があります。2コモディティ価格やインフレ期待の方向性について高い確信度を持つ投資家は、これらの産業に焦点を立てた業種別ETFを利用して、ポートフォリオのベータ・エクスポージャーを調整することができます。

セクターに基づく投資戦略は、構造変化やテクノロジーのトレンドが生み出す長期的な成長機会を捕えるのにも役立ちます。たとえば、1994年から2022年にかけて、米国の人口に占めるインターネット利用者の割合は5%未満から60%近くに上昇しました3。インターネットサービス&インフラ産業はインターネットの利用がこのように指数関数的に増加し普及する中で台頭し、過去30年にわた米国市場全体および米国テクノロジーセクターをアウトパフォームしています(以下の図表を参照)。

4. 分散化メリットの利用

銘柄選択は容易ではありません。セクター予想が的確でも、銘柄予想を間違うこともあります。以下の図表に示した通り、過去21年間にそれぞれセクター全体を10%超アンダーパフォームした銘柄の割合は34%と、10%超アウトパフォームした銘柄(29%)を上回っています。

セクター投資は、特定のテーマに関するトレンドを捕捉するために少数の銘柄を保有するのに比べて、銘柄固有のリスクを過度に負うことなく、望ましいエクスポージャーを取るのに役立ちます。たとえば、自律走行車ブームを捉えるためには、無人運転車に特化した企業を3、4社選別するのではなく、そのテーマに関連する多様な企業を対象にしてセクター内の主要企業とサプライチェーン構成企業の中から数多くの革新的企業を選別することで、的を絞ったセクター・エクスポージャーを追求します。このアプローチは、特定のテーマに関するエクスポージャーの提供を目指していますが、そのテーマが正しくとも銘柄選別を間違った場合、銘柄固有のリスクは抑えられるようになっています。

セクターに基づく戦略を的確に実行するためにETFを検討

ポートフォリオ全体としては、上記の特性を考慮すると、セクター戦略を採用すれば、アルファ創出機会を追求することやポートフォリオ・リスクを分散化することで、コア・ポートフォリオを強化できます。そしてセクター・ローテーション戦略の設計には、様々な方法(テクニカル、ファンダメンタル、マクロベース)があります。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(当社)は、1998年に初のセクターETFシリーズを設定しました。そして現在、SPDR ファミリーは世界産業分類基準(GICS®)で定義された11セクターおよび20産業を対象とするETF、アクティブ運用を行うセクター・ローテーションETF、ならびにスマート輸送、クリーンパワー、インテリジェント・インフラなどの分野で技術革新を牽引する企業に重点を置くテーマ別セクターETFを網羅しています。

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