ステート・ストリートが1993年に米国初の上場ETF を設定して以来、グローバルのETF市場は拡大をし続けていますー運用資産残高は9兆8,000億ドルを超えています。1 現在、ETFは世界のほとんどの投資市場への効率的で費用対効果の高い、多様なアクセスを提供しています。
ETFに初めて投資する場合でも、さらに詳しい情報を探している場合でも、ETFに関するよくある質問への回答をご確認ください。
ETF(上場投資信託)は合同運用の投資ビークルであり、その受益証券は証券取引所でいつでも、その時点での市場価格で売買可能です。
ETFには、指数、市場セクター別指数、アクティブ戦略、スマートベータ戦略、テーマやファクター、実物資産(たとえば不動産やインフラ)などに投資する様々なタイプがあります。
ETFは上場される証券取引所で売買可能な受益証券を発行しますーー 各受益証券は、ファンドの原資産の持分を示します。ほとんどのETFは、規制の対象となっています。そのため投資家は、独立した取締役会による監督、ファンド資産を区別して保有する義務などによって保護されています。
ETFは、すべての資産クラスおよびほぼ全てのグローバル市場を網羅しています。また投資家はETFを通じて、以下のような、多岐にわたる投資戦略にアクセスすることが可能です。
市場パフォーマンスの再現を目指すインデックス・ベースの戦略 | 市場を上回るパフォーマンスの実現を目指すアクティブ戦略、ロングオンリー戦略 |
グロース・スタイル | モメンタム・スタイル |
実物資産投資(不動産やインフラなど) | コモディティ |
混合型マルチマーケットまたはマルチアセット・アプローチ | セクター特化戦略 |
ギアード(レバレッジド)戦略 | バリュー・スタイル |
ファクター・ベースのアプローチ | オポチュニスティック投資 |
ヘッジあり、ヘッジなしアプローチ | インフレ連動 |
地域別戦略 | 社会的責任スクリーニング |
上記がすべてを網羅しているわけではなく、また多くのETFは上記の戦略を複数組み合わせていることもあります。とは言いつつも、ETFの大半はインデックス・ベース、つまり、特定の指数のパフォーマンスをトラックするように設計されています。
インデックス・ベースのETFが通常目指すのは、インデックス・パフォーマンスへの連動です。トラッキング対象のインデックスの構造は、ETFのパフォーマンスに影響する重要な要因です。たとえばインデックスの加重方式には、均等加重、時価総額加重、配当加重、その他多くの方法があります。
アクティブ運用ETFは、市場全般に投資するのではなく、投資または除外する証券や資産を積極的に決定していくことで、特定のベンチマークやインデックスをアウトパフォームすることを目指しています。
インデックス・ベースのETFには、連動するインデックスの構成銘柄(すべて)に投資するもの(「現物を裏付けとするETF」と呼ばれています)、あるいはインデックスを構成する銘柄の代表的なサンプルに投資するものがあります。また、原証券や原資産に投資するのではなく、デリバティブを採用してインデックスに連動するETFもあります。選択されたアプローチは、ETFがどれだけ的確にインデックスに連動できるか(トラッキング・ディファレンス)や全般的なリスクに影響する可能性があります。
他のあらゆる投資と同様に、ETFもリスクがあります。最大のリスクは通常、ETFの投資目的や目的達成のために取得する資産に関係しています。通貨や金利、経済成長の影響、市場や資産に影響を及ぼすその他の要因も、リスクとなり得ます。
インデックス・ベースの戦略のリスクの1つにトラッキング・エラー(ETFのリターンとETFが連動するインデックスのリターンとの差)があります。
プレミアム/ディスカウントのボラティリティ(ETF受益証券の市場価格と、ETFが保有する資産の市場価値、すなわち純資産価格[NAV]との不均衡)も、すべてのETFにとってリスク要因です。不均衡が発生するのは受益証券が証券取引所で取引されているからであり、価格は一時的なセンチメントや市場のボラティリティによって、NAVから乖離する可能性があります。ただし、ほとんどのETFでは、価格は時間の経過とともに再びNAVへと収斂します。一般的に投資期間が長いほど、この種の動きが投資家に与える影響はそれほど重要ではなくなります。
投資家は以下のような様々な目的で、ETFを利用しています。
以下の表はETFに投資する際に関連する費用についておおまかに説明しています。
運用報酬 | ETFの運用に要する費用としてアセットマネージャーから請求されるコストで、通常、年率で表示され、月次で請求されます。 |
売買委託手数料 | ETFは取引所で取引されるため、投資家は証券会社経由でETFを売買する必要があり、そのサービスには通常、手数料がかかります。 |
ビッド・アスク・スプレッド | ETFをセカンダリー市場で売買する際、通常、買い手が支払う意思のある最高の価格(ビッド)と売り手が受け入れる意思のある最低の価格(アスク)には差があります。通常、規模が大きいETFや、取引量が多く流動性が高いETFほど、ビッド・アスク・スプレッドは小さくなります。 |
頻繁な取引によるコスト | ETFを購入し、長期的に保有する場合のコストは理解しやすいですが、ETFの売買をより定期的に行う場合、追加コスト、すなわちトレーディングコストが発生します。トレーディングコストはETFの設計上、実際のコストや費用としては認識されていませんが、投資家が達成するリターンに外部コストとして影響を及ぼします。 |
ETFの過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスを示すものではありませんが、明示された目的またはベンチマークと、ETFのパフォーマンスを比較して評価することもあるでしょう。
トラッキング・ディファレンスまたはトラッキング・エラー
トラッキング・ディファレンス(トラッキング・エラーと呼ばれる場合もあります)は、ETFのリターンとベンチマーク・インデックスのリターンとの乖離の度合を示すものです。トラッキング・ディファレンスは、ETFがインデックスにどのように連動しているか(つまり、インデックスの全構成銘柄に投資しているか、構成銘柄の代表的なサンプルに投資しているか)、ETFの運営費用、インデックスのリバランスやコーポレート・アクションへの投資マネージャーの対応など、多くの要因に影響を受ける可能性があります。
トラッキング・ディファレンスはETFとベンチマークのパフォーマンスの実際の差を示し、トラッキング・エラーはそれを標準偏差で示したものです。
ほとんどの投資家は、ETFを株式市場で市場が決定した価格に基づき売買しており、通常、取引は株式の売買と同様に証券口座を通じて行われます。
株式の売買と同様に、ETF受益証券の売買方法には基本的に2つの選択肢があります。
成り行き注文とは、執行可能な最良の価格、すなわち市場の需給によって形成された価格で行う注文です。多くの場合、この種の注文は直ぐに約定されます。成り行き注文は、通常成立しますが、最適な価格で約定される保証はありません。成り行き注文は、必ずしも直近の取引価格で約定されるわけではないことを覚えておくことが重要です。
指し値注文とは、特定の価格またはそれより良い価格で証券を売買する注文です。買い指し値注文は指値またはそれ以下の価格でのみ約定され、売り指し値注文は指値またはそれ以上の価格でのみ約定されます。指し値注文は、必ずしも約定されるわけではありません。指し値注文は、注文が成立するだけの十分な(反対取引の)需要があり、証券の市場価格が指し値に達した場合のみに成立します。指し値注文は約定される保証はありませんが、指し値で注文することにより投資家は売買する価格をコントロールできます。
流動性とは、当該市場を変動させることなく、証券を容易に売買できる度合を示します。一般的に取引量が多い証券ほど、流動性が高いとされます。
ETFの流動性は、ETFの受益証券とETFが保有する原証券の両方を踏まえて考えるべきです。流動性の高いETFや流動性の高い証券を保有するETF(ETF受益証券の取引量がそれほど多くなくとも)のビッド・アスク・スプレッドは、取引量が少ない、または保有証券の流動性が低いETFよりも小さくなる傾向があります。