ポートフォリオの分散と市場リターンの獲得を目指す投資家の多くが投資するのはS&P 500®指数、米国の上場企業上位500銘柄で構成される代表的な株価指数です1。
初の米国上場ETFであるSPDR®S&P500®ETF(SPY)は、S&P500指数のトータルリターンにアクセスするための効率的かつ流動性の高い手段として、30年超にわたって投資家から信頼されてきました。2020年にリブランディングされたSPDRポートフォリオS&P 500®ETF(SPLG)も同指数に連動していますが、経費率はわずか2ベーシス・ポイント(bp)です。
つまり、S&P500種指数への投資を検討している場合、それぞれの投資スタイルや優先事項に基づき、2つのSPDR ETFから適した方を選べるということです。
図表1:S&P500へエクスポージャーがある2つのSPDR ETF
ティッカー | ファンド名 | 総経費率 (%) | 規制に基づくストラクチャー | 純資産総額(10億米ドル) | 基準価額(米ドル) | 30日平均売買スプレッド(米ドル) | 30日平均売買スプレッド(%) |
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SPY | SPDR S&P 500 ETF | 0.0945 | ユニット型投信(UIT) | 527.5 | 519.26 | 0.01 | 0.002 |
SPLG | SPDR ポートフォリオ S&P 500 ETF | 0.02 | オープンエンド型ファンド | 33 | 61.07 | 0.01 | 0.0164 |
出所:ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2024年4月3日時点
SPY、すなわちSPDR® S&P 500® ETF は投資を民主化し、ETF市場が活性化するきっかけ を作りました。30年以上前に設定されて以降、ETF業界の中心的なプレーヤーとして、投資家に次のようなメリットを提供してきました。
世界で最も取引されているETF4に投資することで、可能性はほぼ無限に広がります。
SPLG、すなわちSPDR®ポートフォリオS&P 500®ETF は、S&P500指数へのエクスポージャーを求める投資家にコスト効率的なソリューションを提供します。最近、低コストETFに注目が集まっており、投資費用の削減を目指す投資家の間では、以下の理由からSPLGへの関心が高まっています。
大局的に見ると、SPYは取引の効率性と選択肢を支える流動性を提供します。SPLGは経費率が低いため、長期的なアロケーションや小規模な運用資産の投資家にとって魅力的な商品です。
どちらのファンドがご自身の投資目的により相応しいかを判断するため、次の点について考えてみましょう。
ETFを保有するコストは経費率だけではありません。ETFの総保有コスト(TCO)は、取引コストと保有コストの2つに大きく分けられます。
取引頻度が高いほど、ETFの総保有コストのうち取引コストの要素を重視するべきでしょう。頻繁に取引を行う場合は経費率よりも、ETFのビッド・アスク・スプレッドの方が総保有コストに大きく影響する可能性があります。リバランスはどのくらいの頻度で実施していますか? 月に1度、四半期に1度、それとも年1度ですか?
SPYとSPLGのビッド・アスク・スプレッドはいずれも平均0.01ドルです。しかし、SPYの方が受益証券価格が高いため、パーセンテージ・ベースでのスプレッドはSPLGに比べてタイトになり、ベーシス・ポイントで見た取引のコスト効率性は高まります(SPYは0.002%、SPLGは0.0164%)。
頻繁に取引するトレーダーにとってさらに重要なのは、業界随一の流動性を持つことでSPYのスプレッドは、ボラティリティが急上昇する局面においても安定していることです 。たとえば、新型コロナウィルスの流行当初、市場が急落し始めた2020年2月と3月のSPYの取引高は平均530億ドルで、ビッド・アスク・スプレッドは1bps未満にとどまっていました7。SPYの安定したスプレッドは、幅広い執行タイプを支えています。
それに加え、SPYは2020年2月28日に1日当たりの取引高が1,000億ドルを超える初のETFとなりました8。これは投資家が、特に流動性が最も必要とされた際に、その豊富な流動性に引き付けられていることを示すものです。
保有期間も商品の選択を左右する要因です。言い換えると、S&P500®指数へのアロケーションは短期の戦術的ポジションなのか、長期保有ポジションなのか、ということです。
たとえば、あなたが年間を通じてご自身のポジションの50%を定期的に売買する戦術的投資家だとします。2つの仮想ETFのビッド・アスク・スプレッドがともに0.01ドルだとしても、1口当たりの受益証券価格が500ドルで経費率が0.0945%のETFと、受益証券価格60ドルで経費率0.02%のETFでは、総保有コストは異なります。
市場価格に変化がなく、これら2つのファンド間のトラッキング・ディファレンスがさらに拡大しないと仮定すると、セカンダリー市場におけるコスト効率性が高いため、経費率の高いETFの方が総保有コストは低くなります(図表4)。
一方、保有期間が10年で、四半期ごとにポジションの10%をリバランスする場合はどうでしょう。同じく一口当たりの受益証券価格が500ドルで経費率0.0945%のETFと、受益証券価格60ドルで経費率0.02%のETF(ビッド・アスク・スプレッドはともに0.01ドル)の総保有コストを分析してみます。ここでも、市場価格に変化がなく、これら2つのファンド間のトラッキング・ディファレンスがさらに拡大しないと仮定すると、経費率が低いETFの方が、取引コストは高いものの、総保有コストは抑えられます。
結局、絶対的に有利なのはどちらのファンドでしょうか。どちらとも言えません。投資ニーズと目的によって、異なります。
もちろん、SPYとSPLGのどちらか一方だけを選ぶ必要もありません。
ご自身の優先事項と投資スタイルによっては、これらのファンドを組み合わせた方が効率的に目標を達成できる場合もあります。たとえば、課税状況、費用予算、戦術的方針などを考慮する必要がある場合、2つのETFを組み合わせた方がよいかもしれません。